2004年の活動報告です。
                                  

てらネットEN設立記念シンポジウム開催

てらネットENの設立の設立を記念して、シンポジウムを開催いたしました。当日は、ネットワーク活動概要のプレゼンテーションのほかに、教育評論家の尾木直樹氏による基調講演などを行いました。
 不登校や引きこもりの現状を知り、第三者や寺院はどのような支援ができるのかを考え、その方法を模索する機会となりました。

シンポジウム詳細
シンポジウム日時  2004年10月18日(月)   13:30〜17:30
会場  築地本願寺第二伝道会館一階「蓮華殿」
     住所 東京都中央区築地3−15−1
         築地本願寺 

第一部 プレゼンテーション<13:30〜14:30>
 ・ ネットワーク活動紹介
 ・ 参加寺院、団体活動紹介

第二部 不登校・ひきこもりを考えるシンポジウム<14:30〜17:30>
 ・ 基調講演「不登校・ひきこもりの現状と課題」
   尾木直樹氏(教育評論家・法政大学教授)
 ・ 元当事者からの提言
 ・ パネルディスカッション「第三者および地域社会による支援のあり方」
   パネラー  尾木直樹氏
           野田大燈師(報四恩精舎・社会福祉法人四恩の里/香川県)
           清水谷善英師(清水寺・愛和会/兵庫県)
           和田重良氏(くだかけ生活舎/神奈川県)

第三部 交流会(立食形式)<18:00〜19:30>

主催
 ・ てらネットEN−全国不登校・ひきこもり対応寺院ネットワーク‐
 ・(財)全国青少年教化協議会

 


基調講演では教育評論家の尾木直樹先生が熱弁をふるった。 ◇てらネットENの活動
 シンポジウムは2部構成で進められました。第1部は活動内容についてのプレゼンテーションです。今年度の主な活動内容は次の通りです。
 ・不登校やひきこもりで悩む青少年やその家族に対して、全青協内に専門の相談窓口を開設し当事者や家族の要望・状況を考慮したうえで、ネットワーク参加寺院や団体への紹介とそのサポートを行う。
 ・リーフレット(小冊子)の配布やウェブサイトを通じて、当事者や家族への情報提供を行っていく。
 ・不登校・ひきこもりに関する一般向けのセミナーや僧侶向けの研修会を開催する。

 ネットワーク参加の寺院団体の紹介では、現在12寺院と5団体、精神科医や臨床心理士、弁護士などの専門家(顧問)が協力を表明していることが説明されました。その中で参加寺院からは「このネットワーク設立は以前から期待していた動きです。なぜなら、当事者にあった施設を紹介できるからです」と語り、個々で活動していた寺院が、集まる事によって活かせる力が大きくなることに期待を寄せていました。

◇不登校・ひきこもりの現状と課題
 第2部は、まず教育評論家の尾木直樹氏による基調講演が行われました。
 尾木氏は「昔はお寺が相談にのってくれていました。お寺が原点に戻ったという気がします」と語り、設立を歓迎しました。そして、不登校やひきこもりが起こる背景として「この問題の今日的特徴は、子どもや青年にとって、発達不全が起こる社会になってきたということです」と述べ、日本の社会システムの限界について指摘しました。
 さらに、現代の若者たちの特徴として「最近の大学生は、先生に対して『欠席したときに配布されたプリントをください』といいます。なぜかというと、同級生にはノートなどのコピーを取らせてほしいと頼みづらいからなのです。そのくらい、今の青年は友人と関わることが下手になっていると思います」と語り、対人関係に不安をかかえる若者の姿を分析しました。
会場一杯の参加者が耳を傾けた。 ひきこもりへの向き合い方としては「ひきこもりで本当に大切なのが親御さんへの支援ではないでしょうか。一つはこのようなネットワークや親の会に人的・経済的支援を行うことが大事です。もう一つは、子供を責めない、ありのままを認めていこうという姿勢が大事だと思います。できたこと、今やれていることを認めていき、一つひとつそれを溜め込んでいこうという姿勢が大事なのではないでしょうか。あわてず、あせらず、あきらめずの姿勢を大切にしていきたいですね」と家族に対してアドヴァイスを送りました。

◇当事者のこころの内
 基調講演に続いて、ひきこもり元当事者2名と、コーディネーターを交えたトークセッションが行われました。元当事者の一人である藤代さんは、ひきこもりに至った理由として「ひきこもりのきっかは、学校でのいじめです。親が厳しかったので、学校には行っていましたが、その後強迫神経症になりました。そして、いろいろなことで対人関係が消極的になっていったのです」と辛い経験を話してくれました。
 ひきこもりから抜け出すきっかけとして藤代さんは「二つの気づきで立ち直ったと思います。一つは、大学の学生相談室でのカウンセリングの中でのことです。先生から、病を治そうとするのではなく、それとどのように付き合っていくのかを考えていこう、と言われたことです。
 もう一つは、大学のフリースペース、学生サロンがあり、そこで同じような悩みを抱えた人たちとつき合う場があり、交流が持てたことでした。それまでは、自分だけが取り残されたような孤立感がありましたが、みんなも同じような問題を抱えているんだという気持ちになれたことが大きいですね」と話し、失いかけた自信を取り戻すには、他者との交流が大切であることを説明しました。


 このシンポジウム翌日には、相談窓口が開設し、サポート業務が開始されました。大方の予想通り、ひっきりなしに電話相談が寄せられています。現時点で思うことは、本窓口に相談する場合は、お寺に子どもを預ければいいというような一方的な態度ではなく、当事者とその家族が一緒に取り組み、互いに成長していくという気持ちを持つことが大切なことだと感じています。こうした相談がなくなる日がくることを願ってやみません。(総)(ぴっぱら2004年12月号より)